明鏡止水☆色即是空

うつ闘病記、婚活、日本一周旅行、公務員回想録を主としたブログです

さやさんとデート②

運ばれてきた料理はとても美味しそうだった。お互いまずは腹ごしらえということで、会話もそこそこに食事を取り始める。うん、美味い!お腹が満たされていくと、不思議と会話も弾んでいく気がする。

 

「としおさん、どうですか?」

「美味しいよ!さやさんのほうはどうですか?」

「はい、こちらも美味しいです。お口に合ったようで良かったです。」

そう言ってホッとしたような表情を見せる。

 

さやさんが好きなものはお酒と読書ということであったが、それはこれまでのやり取りでネタ切れとなってしまっていた。というのもこの2つに対する私の知識が薄っぺらすぎたのだ。

 

お酒は少々飲む程度、読書もさやさんとは読むジャンルが違っていた。さあどうしようか。とりあえず当たり障りのない、学生生活や社会人になってからのことを聞いてみよう。

 

「そういえば今お住まいはここ○○って言ってましたが、出身はどこなんですか?」

「私は△△県出身なんですよ。高校までは△△にいて、大学は××県でした。それで仕事の関係で○○という流れです。」

なるほど、自分と少し似てるな。今は地元に帰ってるけど^^

 

「そうなんですね。私も大学までは地元にいたので似ていますね!部活は何やってたんですか?」

「大学の時にワンダーフォーゲル部に入ってました。といっても部活!っていうよりワイワイしている同好会みたいなもんだったんですが(笑)」

 

そう話すさやさんはとても楽しそうだった。あまりそういう活動に縁が無かった私にとってはとても興味深い話で、しばらくその話を聞いていく。

「あの頃は一番楽しかったかもしれませんね。山に行って見る景色とか最高ですもん。」

少し淋しそうにさやさんは呟いた。自分もそうだけど、学生時代、特に大学生の時っていろいろ充実していて楽しかったな。勉強、友達、恋愛、趣味、バイト、良い思い出ばかりが次々に浮かんでくる。

 

そんなことを思い浮かべていると、

「としおさん?どうされました?」

さやさんに心配されて聞かれてしまった。

 

「あ、ああゴメン。さやさんの話聞いてて、大学の時って楽しかったなって。」

「ですよね。もう戻れないですけど、良い時期ですよね。」

少ししんみり、いや、余韻に浸りながらコーヒーに口をつける。

 

気付くとコーヒーは空になり、さやさんも飲み終えそうだった。時間はまだ1時間程しか経過していない。

「飲んじゃったから、もう1杯注文するよ。さやさんはどうしますか?」

「あ、それなら私も頼みます。次は紅茶にしようかな。」

店員に注文し、出てきたコーヒーにまた口をつけながら話を始めた。

お互いの仕事のこと、家族のこと、大事なことだけどいわゆる話しやすいことをネタに言葉を交わし続けた。特に沈黙は無かった。ただ、なんだろう?お見合いという場を忘れてしまうような感覚に陥ってしまった。

 

なぜだろう?

これまでの流れだったら自分の離婚のこと、お互いの将来のこと、そういったことを話す場なのに。どうしてもそういった話をする流れにならなかった。いや、自分がどこかセーブをかけていたのかもしれない。

 

まだ初対面だから?

初回はあっさりしたほうがいいから?

2回目以降に話せばいいから?

 

見た目?

趣味?

感性?

 

話をしながらも脳内では自問自答が繰り返されていた。話をしていてそれなりに楽しい。さやさんは関西系ということもあって、ちょいちょい出る関西弁やお笑いネタも良かった。

 

でも、少なくともこの時点で将来を考えるには至らなかった。

焦っているのだろうか?

ゆうちゃんと比べている?

 

さやさんのほうからも核心を突いた質問は無かった。同じようなことを考えているのかもしれない。お互いの飲み物が空になり、2時間が経過した頃、どちらともなく「そろそろお開きにしましょうか」という流れになった。

 

店を出て駅へ向かう最中も、友達のような感覚でいろいろ話をした。

「としおさん、今日は楽しかったです。ありがとうございました。」

「こちらこそありがとうございました。また連絡しますね。」

 

「ええ、ぜひまた。お待ちしていますね。」

少し驚いた表情のような、嬉しそうな表情のような、そんな笑みを浮かべてさやさんは言った。こちらの勘違いかもしれないが、悪いようには思われていないだろう。

 

そしてここからまた長い時間をかけて列車で自宅へと向かう。ここにきてドッと疲れが出てきた。初対面の相手と共にする空間、緊張の糸も切れたのだろう。ふぅ、と一息、缶コーヒーを飲む。疲れた・・・

 

しばらくすると携帯が鳴った。LINEだろうか?しかし今は見る気になれず、ただただ車窓をボーっと眺めていく。しばらくは考えるのを止めよう、すると意識が少しずつ遠のいていき、いつの間にか眠ってしまっていた。

   

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